-1.jpg)
就業規則は、会社が労働者を管理するための内部ルールですが、実務では「とりあえず作ったまま」「雛形を流用しただけ」というケースも少なくありません。しかし、労働トラブルが裁判に発展した場合、就業規則は会社を守る盾にも、逆に会社を不利にする証拠にもなります。実際、企業側が敗訴する事件の多くで、「就業規則の内容や運用」に問題があることが指摘されています。
就業規則は、労働契約の内容となる重要な文書です。労働契約法第7条は、合理的な就業規則で、労働者に周知されている場合には、その内容が労働契約となると定めています。裏を返せば、
このような就業規則は、裁判ではほとんど効力を認めてもらえません。
「会社の秩序を乱した場合は懲戒処分とする」「勤務態度が悪い場合は解雇する」、このような規定は一見もっともらしく見えますが、何をすれば違反なのかが分からないため、裁判では問題視されます。
懲戒処分や解雇は労働者にとって重大な不利益です。そのため、裁判所は、「どのような行為が、どの程度の処分に該当するのか」が就業規則上、ある程度明確になっていることを求めます。
たとえば、
このような規定は、労働基準法や男女雇用機会均等法などに明確に反します。裁判では、就業規則に書いてあっても、法律に反する部分は無効と判断され、会社側の主張は通りません。
労働契約法第15条は、解雇について「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」を求めています。就業規則に「一度のミスで即解雇」「軽微な規律違反でも懲戒解雇」といった規定があると、裁判所は処分が重すぎるとして無効と判断しやすくなります。
実務上、
注意 → 戒告 → 減給 → 出勤停止 → 解雇
といった段階的な処分体系がない就業規則は、非常にリスクが高いと言えるでしょう。
労働基準法第106条は、就業規則の周知義務を定めています。具体的には、
このような場合、「その就業規則は労働者に適用されない」と判断されることがあります。裁判では、「知っていたはず」という会社の主張はほとんど通りません。
就業規則には「遅刻は懲戒対象」と書いてあるのに、実際には注意すらしていない。逆に、規則にないルールで突然処分する。このような運用は、裁判で恣意的・不公平と評価され、会社に不利に働きます。
裁判で就業規則の不備が指摘されると、
といった大きな負担が生じます。就業規則は「作って終わり」ではなく、定期的な見直しと運用の整合性が不可欠です。
裁判に弱い就業規則の特徴は、
1.1. 曖昧で抽象的
2.2. 法律違反が含まれている
3.3. 処分が重すぎる
4.4. 周知されていない
5.5. 実態と合っていない
という点に集約されます。「社員向けの内輪のルール」ではなく、「労基署、裁判所等の第三者に見られる文書」という客観的な視点で就業規則を作成、点検することが、企業防衛の第一歩と言えるでしょう。
弊所では、就業規則の作成、点検等についても法律相談(費用は30分税抜5,000円です)させていただいていますので、いつでもご相談ください。