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2026/08/25
賃金・労働時間

社員に休日出勤をさせた場合、代わりの休日を与える義務があるのでしょうか





「日曜日に出てもらったんですけど、その代わり来週の水曜日を休みにしたら、給料はチャラでいいんですよね」。休日出勤の話題になると、このような質問をよく受けます。感覚としては分からなくはないですが、法的にはそんな単純な話ではありません。そもそも前提として、社員に休日出勤をさせたからといって、必ず別の日を休みにしなければならないという一般的な義務は会社にはありません。それやったら休ませる必要はないんやなということで、代わりの休み無しで休日出勤をさせ続けたら、その従業員はブラック企業(従業員に対する安全・健康配慮義務を放棄している会社)やと感じてそのうち辞めてしまいます。




 労働基準法は、使用者に対して、毎週少なくとも一回の休日を労働者に与えるよう求めています。ただし、就業規則で起算日を定めておけば、4週間を通じて4日以上の休日を与える方法も認められています。例えば、土日休みの会社があったとして、土日の両方がこの労働基準法上の法定休日になるわけではなく、一方を法定休日としたら、もう一方の休日は会社が独自に定めた法定外休日(所定休日)と扱われます。この区別が大事なのは、休日出勤したときの割増賃金が変わってくるからです。法定休日に働かせた場合、労働基準法37条により、会社は原則として35%以上の割増賃金を支払う必要がありますが、法定外休日(所定休日)に出勤させた場合は、35%の休日割増が付くわけではなく、その勤務によって週40時間という法定労働時間を超えた場合に限り、時間外労働として原則25%以上の割増賃金を支払う必要があります。




 ここからが本題です。前述のように、労働基準法には、休日出勤をさせたら、その日数と同じだけ代休を与えなければならないという規定はありません。ただし、会社の就業規則に、休日出勤をした場合には代休を与えると書いてあると、話は変わってきます。就業規則は、会社が守るべき労働条件のルール(雇用契約の内容)でもあります。しばらく忙しくなるんで当面は代休なしでいきますと勝手に会社の都合で運用を変えることはできません。





 休日出勤で一番間違えやすいのが、代休と振替休日の区別で、名前は似ていますが、中身は全く違います。例えば、日曜日が法定休日だとして、会社が社員に対し、「今度の日曜日は出勤してください。その代わり、あらかじめ来週の水曜日を休日にします」と事前に休日と労働日を入れ替えるのが振替休日です。適切に休日を振り替えれば、もともと法定休日だった日曜日は労働日になるので、法定休日に働いたという扱いにはならず、35%以上の休日割増も発生しません。一方で、日曜日に働かせた後で、「昨日出てもらったし、来週の水曜日は休んでええよ」と、事後に振り替える場合の代わりの休みのことを代休といいます。何が違うねんと思われるかもしれませんが、違うのは休日を変更したタイミングです。代休の場合、日曜日に働いた時点では、その日はまだ法定休日です。後から水曜日を休みにしても、日曜日が法定休日だった」という事実は消えないので、法定休日の日曜日に働かせた以上、労働基準法37条に基づく35%以上の休日割増賃金の支払いが必要です。




 それだったら、休日出勤は全部、事前に振り替えておけばええやんと思われるかもしれませんが、振替休日と認められるためには一定の要件が必要で、単に上司が今度どっかで休んでなと言えばよいわけではありません。就業規則に休日振替に関する規定を置いたうえで、振り替える休日を特定し事前に労働者へ通知する必要があり、労働基準法35条が要求する休日自体も確保しなければなりません。また、休日の振替が有効とされても、時間外労働の割増賃金が発生する可能性があることにも注意が必要です。例えば、月曜日から金曜日まで1日8時間、合計40時間働いた人に、同じ週の日曜日も8時間働いてもらい、休日を翌週へ振り替えたとした場合、日曜日が適法に労働日へ変更されていれば、35%の休日割増の問題は避けられるかもしれませんが、その週には48時間働いているので、40時間を超えた部分については時間外労働の割増賃金が必要です。忘れがちなのが、法定休日に社員を働かせるのであれば、原則として36協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要だという点です。割増賃金を払うことと、法定休日に労働させることができる法的な手続を整えていることは別問題なので、就業規則や労働契約上、会社が休日労働を命じる根拠がどうなっているのかも確認しておきましょう。


令和8年8月25日

リバティ総合法律事務所 弁護士 石上秀樹

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