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2026/01/05
退職・解雇

弊社はアルバイトの若い従業員を多数雇用しています。アルバイト同士の仲が良いことは会社にとっても良いことだと思うのですが、一部のアルバイト同士がSNSで繋がっていて、上司の悪口を言いあったりして盛り上がっているようです。そんな中、第三者も閲覧可能なサイトに、「弊社はやばい」、「店長うざすぎ、死ね」、 「こんな会社の商品を買うやつの気が知れない」等、弊社の社員と思われる人物が投稿したと思われるの悪質な書き込みがされているのを発見しました。こんな投稿をされると弊社の企業イメージが悪化につながりかねないため、書き込んだ従業員を特定の上、懲戒解雇したいと考えていますが、法的に問題はありますでしょうか。




若いアルバイト従業員が多い職場では、SNSを通じた交流が活発になるのは珍しくありません。しかし、その延長線上で、第三者も閲覧可能なサイトに会社や上司を強く中傷する投稿がなされた場合、企業としては看過できない問題です。
ご相談のように、企業イメージを著しく損なう投稿を理由に懲戒解雇を検討する場合、法的には慎重な判断が求められます。



SNS投稿は「私生活」でも無制限に許されない




SNSは私的な表現の場と受け止められがちですが、不特定多数が閲覧できる投稿は、実質的には公的空間に近い性質を持ちます。特に「弊社はやばい」「こんな会社の商品を買うやつの気が知れない」といった表現は、会社の社会的評価を低下させるおそれがあり、企業秩序との関係で問題となる行為です。




懲戒解雇が許されるための原則




懲戒解雇は、懲戒処分の中で最も重い制裁です。そのため、労働契約法15条は、懲戒が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効と定めています。


つまり、



などを総合的に考慮しなければなりません。




SNS投稿と企業秩序違反




ご相談の投稿内容には、次のような問題点が含まれます。

  • 「店長うざすぎ、死ね」
     → 人格を否定する表現であり、刑法231条(侮辱罪)に該当する可能性があります。

  • 「こんな会社の商品を買うやつの気が知れない」
     → 会社の信用・評判を害する表現であり、業務妨害的性質を持ちます。




実務上、SNSでの誹謗中傷が会社の名誉・信用を侵害し、職場秩序を著しく乱した場合には、懲戒処分の対象となり得ます。実際に、私生活上の行為であっても、企業の社会的評価に重大な悪影響を及ぼした場合には懲戒を有効とした裁判例も存在します。



それでも「即懲戒解雇」は危険




もっとも、だからといって直ちに懲戒解雇が有効と認められるとは限りません。特にアルバイト(有期・短時間労働者)の場合、裁判所は次の点を重視する傾向があります。



これらが不十分な場合、懲戒解雇は重すぎる処分と判断され、無効となるリスクがあります。


実務対応のポイント




実務的には、次のような段階的対応が望ましいといえます。

  1. 投稿者の特定と証拠保全
     スクリーンショット等で投稿内容・日時・公開範囲を保存します。


  2. 就業規則の確認
     懲戒事由や信用毀損行為、SNSに関する規定の有無を確認します。
     懲戒解雇を行うには、原則として就業規則上の根拠が必要です。


  3. 事情聴取・弁明の機会付与
     本人から経緯や意図を聴き、弁明の機会を与えることが重要です。


  4. 処分の選択
     多くのケースでは、戒告・譴責・一定期間の出勤停止など、段階的処分が選択されます。


悪質性が極めて高く、企業への影響が重大で、改善の余地がない場合に限り、懲戒解雇が検討対象となります。



まとめ



ご相談のようなSNS投稿は、内容次第で重大な問題行為に該当し、懲戒処分の対象となる可能性は十分にあります。しかし、懲戒解雇は最終手段であり、



を欠いた場合、無効と判断されるリスクが高い点には注意が必要です。企業としては、感情的に処分を急ぐのではなく、法的枠組みに沿って冷静に対応することが、結果的にリスクを最小限に抑えることにつながります。

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