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2026/09/08
賃金・労働時間

深夜帯に働いてくれるアルバイトを募集する際、日勤の場合の時給がいくらでその1.25倍を支払うとまで明示しないといけないのでしょうか






 例えば、通常の時給が1,200円で、午後10時以降は深夜割増を加えて1,500円になるようなケースで、この場合に、深夜時給1,500円と書くだけじゃなく、通常時給1,200円の1.25倍になるとまで求人票に書かないといけないかという問題ですね。この点、労働基準法37条4項は、午後10時から午前5時までの時間帯に働かせた場合、通常の労働時間の賃金の25%以上を加算して支払うことを義務づけていて、通常時給が1,200円なら、深夜時間帯については少なくとも1,500円を支払う必要が出てきます。これは正社員だけの話ではなく、アルバイトやパートも同じです。ただし、労働基準法が定めているのは、いくら支払わなければいけないかというところだけで、求人広告にどのように書かなければならないかまで定めている訳ではありません。求人の段階では、労働基準法とは別の法律が関係してきます。





 職業安定法です。この法律は、労働者の募集を行う者に対し、従事する業務の内容や賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう求めているだけでなく、求人などに関する情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはいけないこと、正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないことを求めています。ですので、深夜勤務のアルバイトを募集しようとするのであれば、実際にその仕事で支払われる賃金が分かるように正確かつ最新の情報を表示する必要はありますが、誤解を生じさせないのであれば、日勤帯の時給まで必ず併記しないといけないという訳ではありません。




 例えば、午後10時から翌午前5時までの勤務だけを募集していて、その時間帯の時給が1,500円の場合、勤務時間22時~翌5時、時給1,500円とだけ表示することが直ちに違法になるという訳ではありません。職業安定法上も、通常時給1,200円を併記したうえで、その1.25倍と細かい計算過程まで示すことまでは求めていません。ただ、実際は、深夜時給1,500円とだけ書くよりは、時給1,500円(深夜割増を含む)くらいの説明は付けておいた方がよいかもしれません。なぜかというと、時給1,500円とだけ書かれていると、見る人によっては、基本となる時給が1,500円で、午後10時以降はここからさらに25%増えると勘違いする可能性があるからです。





 会社としては深夜割増込みの金額を表示したつもりでも、応募者が誤解していると、採用後の賃金トラブルにつながりかねません。特に誤解を招きやすいのが、午後9時から翌午前2時までといった勤務帯のを募集するような場合で、この場合、法律上は、午後9時から10時までは通常時給、午後10時以降は深夜割増後の時給になります。仮に、このような募集をするのであれば、22時まで時給1,200円、22時以降時給1,500円(深夜割増を含む)などと時間帯を分けて表示する方が望ましいでしょう。



 採用面接の段階になると、今度は、求人広告とは別に、労働基準法15条1項及び労働基準法施行規則5条に基づき、賃金や労働時間などの具体的な労働条件を明示する必要が出てきます。求人広告に書いたからといって、採用時の労働条件通知書が不要になる訳ではありません。注意が必要なのが、求人票の記載と最終的な労働条件が変わる場合です。職業安定法5条の3の3項は、当初明示した労働条件を変更する場合は、契約締結前に変更内容等を明示することを求めています。絶対に変更が許されないという訳ではありませんが、いざ契約しようとすると、求人時に明示されていた内容と違っていたというのでは、会社に対する信用を早々に失いかねないことになりますので、できるだけ避けるべきです。場合によっては、虚偽の条件を提示して労働者の募集を行ったとして、刑事罰を受けるリスクもあります。


令和8年9月8日

リバティ総合法律事務所 弁護士 石上秀樹

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