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2025/12/22
ハラスメント

社内でパワーハラスメントを受けていると感じた時、社内に相談窓口がある場合はまずはそこに相談したらよいと分かるのですが、社内にそういった窓口がなかったり、社内では相談しにくい雰囲気がある場合、どこに相談に行ったらよいのでしょうか。


上司からの強い叱責、無視、過大な業務の押し付け――。
「これはパワハラなのではないか」と感じても、どこに相談すればよいのか分からず、我慢してしまう方は少なくありません。
しかし現在、パワハラは「個人の相性の問題」ではなく、法律上、会社が防止措置を講じる義務のある問題として位置づけられています。適切な相談窓口を知ることは、自身を守る第一歩です。




背景:パワハラは「会社の責任」とされた

パワハラについては、労働施策総合推進法第30条の2により、事業主に対し、

などの「防止措置義務」が課されています。




①  まず検討すべき「社内の相談窓口」




1.社内窓口の位置づけ



多くの企業では、就業規則やハラスメント防止規程に基づき、

などが設置されています。
法律上も、社内相談窓口の設置は防止措置の中核とされています。


2.メリットと注意点


メリット

注意点

「相談したことで不利益を受けるのでは」と不安に思う方もいますが、相談を理由とする不利益取扱いは禁止されています。






② 社外の公的相談窓口:総合労働相談コーナー




1.相談できる内容



社内相談が難しい、または機能していない場合、
都道府県労働局の総合労働相談コーナーが重要な選択肢となります。



ここでは、

2.特 徴


「まず話を聞いてもらいたい」「頭を整理したい」段階に最適です。




③ 行政指導を求める場合:雇用環境・均等部(室)




1.役 割

パワハラ防止措置義務違反について、事業主に対する助言・指導・勧告を行うのが、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。


2.向いているケース


この窓口は、個人の感情的な争いではなく、「会社の対応が法に適合しているか」を見る点が特徴です。





④ 労働基準監督署は原則「直接の相談先ではない」




パワハラそのものは、労働基準法違反ではないため、原則として労働基準監督署の直接の管轄ではありません。ただし、

といった場合には、労働時間管理や労災の観点から関与する余地はあります。




⑤ 法的解決を目指す場合


次の段階として、

といった手段があります。
特に損害賠償や慰謝料を求める場合は、裁判所の手続が必要となります。




実務的な相談ルートの整理



実務上は、次の流れが現実的です。


「一足飛びに裁判」ではなく、段階的に進むことが精神的・実務的負担を抑えるコツです。




まとめ




パワハラを受けていると感じたとき、相談先は一つではありません。

重要なのは、一人で抱え込まないこと、そして記録を残すことです。
「相談するほどのことではないかもしれない」と感じる段階こそ、早めに相談することで、深刻化を防ぐことができます。パワハラは、我慢する問題ではなく、法が対応を求めている問題であることを忘れないでください。

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