労働契約においては、使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては、少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならないとされています。
逆に言うと、労働基準法上は、6時間までの労働であれば休憩時間を与える必要はなく、また、8時間を大幅に超える1日15時間労働の場合でも休憩時間は1時間でよいことになります。緊張を強いられる仕事を6時間休憩なしでするって、考えるだけで勘弁してと思いますが、労働基準法ではそうなっています。
もちろん、使用者は、労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務が課せられているので(労働基準法5条)、6時間休憩なしで仕事をさせたり、15時間の労働時間の中で休憩を1時間しか与えないことが、安全配慮義務に違反していると評価されたり、場合によっては、疲労のために労災事故が発生してしまったりということも起こりえるでしょう。
そこは、仕事の内容に応じて、どれくらいの頻度で休憩をとるのが効率的か、また安全か、個々の企業が判断することになります。
休憩時間は、原則、労働時間の途中に一斉に与えなければならないとされていますが、分割で与えたり、途中であればどの段階で与えても、労働基準法上の問題はありません。
休憩時間を一斉に与える場合、日によって時間が変わるようでは、食事等の準備をする関係でも支障があるでしょうし、労働者自身、休憩まだかよと思いながら仕事をするとなると効率も落ちると思うので、休憩時間は12時~13時の間の1時間などと定められていることが一般的だと思います。
さきほど、休憩時間は原則、労働時間の途中に一斉に与えなければならないと書きましたが、これには例外があり、①一斉に与える必要がない旨の労使協定がある場合、②運送業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・通信業、病院・保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業の場合については、一斉に付与する必要はないとされています。
一斉付与の例外となる業種って意外に多いなと感じませんか?
私個人は、混在した場所が好きではなく(好きな人などいないのかもしれませんが)、また、お腹が空く時間も日によって異なるので(単なるわがまま)、一斉付与でない方が有難いなとは感じます。
一斉付与とはしない場合、雇用契約書や就業規則に記載する休憩時間については、〇時~〇時の間の1時間等、ある程度幅を持たせた内容となります。
ちなみに、以下の労働者については、労働基準法の休憩に関する規定は適用されない(法令上の義務として休憩を与える必要はない)とされています。
休憩を与える必要はないとしても、前述のように、使用者は労働者に対する安全配慮義務を負っていることから、かかる労働者が、疲労回復のために現場で休んだり、水分・栄養補給したりすることを禁止することができないことは言うまでもありません。
➀ 林業を除く農林水産業の従事者
② 管理監督者
③ 監視または断続的業務に従事する者(行政官庁の許可が必要)
④ 運送・郵便・信書便の事業の長距離乗務員(6時間以上乗務のもの)
⑤ 屋内勤務者30人以内の郵便局において郵便窓口業務に従事する者
⑥ 6時間以上乗務しない乗務員(その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることが
できないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ
時間その他の時間の合計が労働基準法34条1項に規定する休憩時間に相当するときに限
る)
労働基準法34条
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
労働基準法41条
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
労働基準法施行規則32条
使用者は、法別表第一第四号に掲げる事業又は郵便若しくは信書便の事業に使用される労働者のうち列車、気動車、電車、自動車、船舶又は航空機に乗務する機関手、運転手、操縦士、車掌、列車掛、荷扱手、列車手、給仕、暖冷房乗務員及び電源乗務員(以下単に「乗務員」という。)で長距離にわたり継続して乗務するもの並びに同表第十一号に掲げる事業に使用される労働者で屋内勤務者三十人未満の日本郵便株式会社の営業所(簡易郵便局法第二条に規定する郵便窓口業務を行うものに限る。)において郵便の業務に従事するものについては、法第三十四条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。
② 使用者は、乗務員で前項の規定に該当しないものについては、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が法第三十四条第一項に規定する休憩時間に相当するときは、同条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。